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米吉ブログ

悲しい話

八月も半ばを過ぎた本日、ヨーロッパから無事に帰国いたしました。

色々と整理をして、紀行文を書いていきたいなと思っております。

 

 

そんな旅の最中、悲しいお話を二つも聞かなくてはなりませんでした。

 

1つは、京紫さんの訃報。

 

療養中とのお話はうかがっていましたが、すぐお元気になってまたご一緒できるだろうと思っていましたのに、とてもショックです。

 

思えば、京紫さん最後の舞台となった3月の『伊賀越道中双六』

お袖で、京紫さんがお勤めだったお役に茶を出したのがご一緒した最後となりました。

 

 

この写真は昨年、国立劇場での研修発表会。

我が家の蝶次が小浪を勤めさせていただき、継母である戸無瀬を勤められていて、折角だからと撮った物。

京紫さんの戸無瀬なら安心だねと父の話していた通り、とっても素敵な戸無瀬で、蝶次もさぞ心強かったんではないかと思います。

彼にも大切にしてほしい思い出です。

  

研修発表会といえば…

僕が数年前に『七段目』のお軽を勉強させて頂いたとき、舞台稽古の翌日、楽屋の廊下で遠くから僕に向かって大きな丸を作って、誉めてくださったことがありました。

勿論不出来で、全く誉められたものじゃないことは間違いなく、色んな人から叱られた後です。

きっと、京紫さんは自信をつけさせようと誉めてくださったんだと思います。 

事実、京紫さんの言葉は嬉しくて、とても励みになりました。 

そんな優しいところ、素敵なところがたくさんたくさん思い出となって浮かんできます。

いつも明るくて、優しくて、綺麗で素敵な方でした。

そんな京紫さんにもう会えないと思うと寂しくて寂しくてたまりません。

 

まだまだお若いのに、本当に本当に残念です。

  

  

そして、まだ京紫さんのことが悲しみよりも驚きでしかなかったとき、もう1つ悲しい知らせが届きました。

 

お中二階の床山、光峰床山の社長  高橋敏夫さんの訃報です。

 

女方床山のトップで、現場は退いてらっしゃいましたが、僕が鬘合わせをする時にはほぼ必ずと言って良いほど来てくれて、鬘合わせを見てくれていました。

 

療養中であることはうかがっていましたが、こちらもすぐに元気になられるだろうと思い込んでいました。

鬘合わせをする度に、

元気になって次の鬘合わせは来てくれるかな

と思っていて、双蝶会の初日にやった鬘合わせの時にもそう思ったばかりでしたのに…

 

鬘の事、飾り物の事、鬘合わせの時どういう風にしたら良いのか、本当に沢山のこと教えて頂きました。

いつぞや書いた平打ちのことも高橋さんが気にしてくださって、誂えてくださったものです。

 

今年の2月、博多での『雪之丞変化』のお初の櫛簪を自前にするに当たってこれが良いあれが良いと相談にのってもらったのがお目にかかった最後になってしまいました。

 

囲碁がお好きだったらしく、よく楽屋で斎入のおじさんと楽しそうに指してらした姿が思い出されます。

まだまだたくさん教わりたいこともあったのに、本当に残念でたまりません。

うちの父と余り年も変わらないだけに、何とも言えない気持ちです。

 

何よりも、お弟子さんとも言える女方の床山さんたちの寂しさや心細さは察するに余りあり、僕がなにか言える物ではありません…

 

 
  
ただただお二人のご冥福を心からお祈りいたします。

  

今まで本当にありがとうございました。
 

  

でも、早すぎます。
 

 

異国の地で触れる訃報ほど寂しくもどかしくなるものはありませんね

 

  

尚、このブログへのコメントの返信は失礼させていただきます。

 

 

 
米吉でした

 

合掌

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コメント

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  • コメント (1)

    • chie
    • 2017年 8月 24日

    京紫さんが、伊賀越道中双六で拝見してから、休演されてることは知っていたのですが、また舞台でお姿を拝見出来ると思っておりました。
    素踊りを拝見した時、素のお顔もとても品のあるお顔立ちで綺麗な方でいらっしゃられました。研修発表会での戸無瀬もついこの間のことのように感じてしまうのに。まだお若くて信じられません。

    身替座禅の時に平打ちを載せてくださった時にとても素敵で近くで見てみたいなあと席から見えないのに見えないかなあと思っていました。高橋さんが誂えてくださったものだったのですね。

    ブログで鬘や小道具や衣装のこと、いつも楽しく読ませてもらっている中にいろいろな方から教えてもらったことやお話を間接的に聞かせていただけているのだなあとあらためて思いました。お初のお役の達磨の櫛とても好きで簪との組み合わせがまた粋でお洒落でかっこいいなあと感じておりました。いつかまた再演されることがあればまたあのお姿で会えることを願っております。
    きちんとお見送り出来ないことは、とても辛いことですね。
    お二方のご冥福を心よりお祈り致しております。

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