なんだか今月はいつもに増して一ヶ月が早く、国立劇場での公演も残すところ一日となりました。
今月は『天竺徳兵衛韓噺』にて銀杏の前 を勤めさせていただいております。
梅津掃部 の妹で、 佐々木桂之助 に恋い焦がれているお姫様。彼女が桂之助に会うために密かに北野天満宮に行ったが為に、恋人や兄に迷惑をかけることになります。
今回はカットになっていますが、二人が石割源吾 の手引きで密会する場もあるんですよ……!
後先なんて考えず、桂之助に一目会うために吉岡宗観 の屋敷へ忍んでくる時には藤色の着物で登場。
実はこの二つの拵え、衣装だけでなく、よく見ていただくと頭も違うものなんです。赤色の時はこちらの吹輪。藤色の時は文金に変わっています。
正面からだと前ざしがあるので分かりにくいかもしれませんが、横から見ると一目瞭然ですよね。
特に意味があるわけではありませんが、折角なら目先を変えた方が良いだろうという歌舞伎ならではの工夫といえるかもしれません。
そんな天竺徳兵衛といえば、以前明治座で猿之助の兄さんが『天竺徳兵衛新噺』の題でなさった際にも出演したことがあります。
その本では小幡小平次 の怪談が加筆されていて、その小平次の妹のおまき を勤めさせていただきました。まだ大きなお役の経験のない頃、お里 やお舟 などの娘役のパロディがふんだんに織り込まれた素敵なこのお役を、とても嬉しく、楽しく勤めさせて頂いたことが懐かしく思い出されます。
猿之助の兄さんにも色々教えていただき、今に繋がるお勉強をさせて頂けたこと、本当にありがたかったです。
今こそ改めて勤めさせて頂きたいものです……!
そして、このお役で思い出されるのは、人伝に聞いたデヴィ夫人のご感想!
一夜の宿を頼みにきた旅人に一目惚れをして、つい手拭いを落としてしまう……
という芝居をしていたのですが、それをご覧になって、
「あのハンカチ落としをなさっていた方はどなた?」
と仰ったんだとか(笑)
米吉でした( ̄▽ ̄)
もう早いもので11月ですね。
先月の天竺徳兵衛、米吉さんのブログを読んだ後に、鬘の違いなどもしっかり確認しながら、拝見できました。
恋に盲目なお姫様によってトラブルが起きるのは、定番ですが、やっぱりそういうお姫様は、とてもかわいらしく思ってしまいます。密会する場もぜひ拝見したかったです。舞台美術も素敵で蝦蟇は、近づいてまじまじ見てみたくなりました。
猿之助さんの方は、残念ながら拝見したことは、ないのですが、お里やお舟などのパロディが入ってるってどんなふうな場なんだろうと想像すると、観てみたくてしょうがなくなりました。デビィ夫人の逸話も含めて気になってしまいました。いつか再演するのを楽しみにします。
今年は、寒くなったり、暑くなったりと気候も天候も不安定ですね。米吉さん、お体には、お気をつけくださいね。毎年恒例の皆様での国立劇場での公演、今回もとても楽しみにしております。
例によってあっと言う間の一年です(^_^;)
先月もご観劇ありがとうございましたm(_ _)m
鬘の違いをご確認頂けて何よりです。
細かな違いがたくさんあるんですよね。
歌舞伎のお姫様はある意味トラブルメーカーかもしれません(笑)
お姫様などの高貴な身分のほんわかした雰囲気があれば許せてしまうんでしょうね……
急に寒くなって参りましたね。
今月もお待ちしております!