5月も早くも半ば、歌舞伎座、團菊祭五月大歌舞伎も折返しの中日を迎えました。
恒例の團菊祭ですが、コロナ禍で3年ぶりの開催となります。
そんな久しぶりの團菊祭、第三部において若手での『弁天娘女男白浪』が上演されています。
右近 さんの弁天小僧を筆頭に、同年輩の隼人 さんの忠信利平と私の赤星十三郎。
少し年長の巳之助 兄さんが兄貴分の南郷力丸。
そして、頭領の日本駄右衛門 に彦三郎の兄さん。
と、役者同士の年齢差と役柄が似通った、若い白浪五人男となっております!
元々は武家のお小姓であったものの、昔のご主人様のために盗みを働き、家来筋でもあった忠信利平との縁から五人男の仲間入りをします。
お小姓上がりだからこその色気や品、柔らかみがあり、どこか憂いもある、五人男の中でも独特な、中性的的な役柄です。
5人の中で、見得のときにツケを打たないのも柔和な役柄ならではですよね。
そこにあしらわれた桜が、赤星のキャラクターをより良く表しているような気がします。
いつかは勤めてみたいと思いながらも、こんなにも早く歌舞伎座で勤めさせていただくことになるとは思いもよらないことでした。
「白浪五人男」といえば、戦隊モノの元ネタとして、歌舞伎をご覧にならない方も何となくご存知の方も多いはず。
揃いの傘に華やかな衣裳、5人のそれぞれに合わせた詞章の黒御簾音楽、そして黙阿弥 の七五調の見事な5人のツラネの台詞……
そんな歌舞伎の魅力が短い時間に詰まっているのが「稲瀬川勢揃いの場」ですよね。
その魅力を自分の体を通してお客様に感じてもらえるよう、勤めねばなりません。
理屈抜きでワクワクとしてもらえなければ、この場面は成立しませんもの(笑)
これまで名だたる諸先輩が勤めてきた赤星にはまだまだ遠く及ばないものの、今しかできない「白浪五人男」を勤められるよう、一所懸命に勤めさせて頂いております。
同世代が弁天小僧を勤める中、一緒に五人男に並べることはとても嬉しいことです。
この先もずっと、こうした機会を得られるようにますます精進していかなくてはなりません。
歌舞伎座で稲瀬川のツラネを言えることにも感謝しながら、千穐楽まで高みへ少しでも近づけられるよう努めてまいりますので、何卒よろしくお願いします!
米吉でした。