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米吉ブログ

御贔屓繫馬

 


Instagramやナタリーさんで連載中の『#カワイイは世界を救う?』など発信媒体が増えたという言い訳をしながら、すっかりこちらのブログの方がご無沙汰になってしまっていて、申し訳ありません。

久々の更新、今後もゆるりと続けては参りますので、どうぞ懲りずにお付き合いください。

さて、今月は明治座 150周年を寿ぐ、市川猿之助奮闘歌舞伎公演に出演させて頂いております。

明治座に初めて出演したのは10年近く前の猿之助兄さんの公演でしたので、この記念すべき公演に再び猿之助兄さんとご一緒できること、とても嬉しく思っています。

猿翁のおじさんが明治座で初演した数々の復活狂言には、米吉時代から父も欠かさず出演しておりましたので、2代に渡るご縁は本当にありがたいです。

そんな明治座ゆかりの復活狂言が再び明治座に御目見得。
夜の部の『御贔屓繫馬』は今から約
40年前に明治座で初演されました。

鶴屋南北の書いた二つの芝居を繋ぎ合わせ、前太平記の世界を舞台に蜘蛛の怪異を絡めた一大スペクタクル。
今回はその中でも、市原野の焼場から平良門 の蘇生する所から始まるくだりに焦点を当て再構成されました。
私が勤めさせて頂いているのは良門 の許嫁である桔梗の前

序幕の市原野のだんまりでは吹輪の頭に紫の帽子をつけ、赤姫の袖に金糸の糸房をつけた大変古風な拵えです。
父親である藤原純友 が討たれ、流浪の身であることから、着付は肩入になっていますし、肌を脱いだ鶸色の刺繍の襦袢も袖から先が別の織物が継がれていて、うらぶれた姿です。
歌舞伎の美的センスの塊のような素敵な拵えですよね!久々の古典の赤姫の拵えを両肩にずっしり感じる今日この頃です。
打って変わって次の幕ではこんな拵え。
紙衣肩入に縄の帯という、こちらは更に貧相な身なりです。男髷を結い 菰垂れの安 と名乗り、男装した上に乞食姿で大江山の山中に身を潜めています。その上で自分の正体は平良門 である、と更に偽りを重ねているという二重構造。
なかなかのややこしさですよね(笑)

彼女の目的は、許嫁の良門 の身代わりになって死ぬこと。
そのため、目の前にいる座頭が良門 と交換し合った歌の短冊を持っていることを知り、彼を試すような真似をした上で、その座頭の正体こそ、恋しい良門 であると確信を持つと、諸肌を脱ぎ髪を捌き、姫の本性をあらわします。
赤姫の綸子の生地や帯の端切のような織物をパッチワークをのように切り継いだこの衣裳。
質素な身なりの下に、ボロボロになりながらもいまだにこれを身につけるところにお姫様らしさが秘められていますよね。
実は、以前の上演ではご覧のように最初からこちらの切り継ぎの衣裳でしたが、今回は襦袢としてこの衣裳を着るという演出に変わりました。(写真は2度目の上演時の福助兄さんのもの。兄さんは初演から勤められました。)

また、お芝居も男声と女声がはっきり変わる弁天小僧 お嬢吉三 のような作り方ではなく、男女どちらとも言えない両性具有のような不思議な雰囲気でやってみたらどうか、という猿之助兄さんのアドバイスを受け、以前の上演の時と少し変わっています。

とても難しいお役ではありますが、これまでの経験を総動員して、「初演の江戸期の岩井半四郎の雰囲気はそこだったのではないか」というお兄さんのお言葉を頼りに日々試行錯誤しながら勤めています。

個人的にとても好きなお役となりました!

南北の奇想天外な芝居を二つ混ぜたものを、更に刈り込んだ今回の上演台本。

補綴の石川耕士さんも、今回の形は、座頭に化けた良門 と、乞食に化けた桔梗の前 が巡り合い、桔梗の前 が命を捨てて良門 を助けようとする、というところが物語の主軸になった、と話していられました。
もちろんその後の大立廻りや、六変化の舞踊など、見所は盛りだくさんではありますが、ドラマとしての輪郭は、相当部分桔梗の前 が担うことになりました。

オンディーヌFFⅩ歌舞伎を経て、古典歌舞伎の舞台へ帰ってきた自分の現在地をお客様に見ていただくのに、こんなにありがたいお役はありません。

猿之助兄さんの胸を借り、食らいつきながら残り半分、精一杯勤めていきたいと思っています!

 

ちなみに、“”馬ではなくて“”馬ですので間違えないようにお気をつけあれ!(間違えてた人からのアドバイスでした笑)

 

 

 

米吉でした。

◇歌舞伎家話出演情報◇

◇インタビュー掲載情報◇

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コメント

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  • コメント (1)

    • 則岡 京子
    • 2023年 5月 18日

    今回、久しぶりに猿之助兄さんと演じる米吉歌舞伎を見ようと、手配したのに。

    2幕の最後、隼人さん率いる一座の皆さんを見て、何故か涙してしまいました。時に歌舞伎で目立つ役者さんたちは、良いも悪いも重荷を背負って生きているのですね。猿之助、何やってんだ。早く元気になって芸道に進め、と言いたい。
    米吉さんはじめ、複雑な思いでしょうが、今夜も最後まで演じ切ってください。ジャニーズはじめ、世の中揺れているけれど、自分の思いを自由に表現できる世界であってほしい。
    夢と希望と、日々のストレス発散で楽しい思いが出来る舞台を見に行く場なのだから。

    さて、3幕目が始まる。
    今日は改めて、若手の皆さんを応援して行きたい日となった。

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