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米吉ブログ

葵御前

 


 

平成も残すところあと一週間を切りました。

何かが急に変わる訳でも、何か特別なことを僕らがする訳でもありませんが、平成生まれとしては何とも言えない寂しさや期待の入り交じった感慨を覚えています。

 

平成最後の歌舞伎興行も今日でおしまい。

今月は夜の部にて『実盛物語』の 葵御前 という大きなお役を勤めさせていただきました。

以前、前段にあたる『義賢最期』で木曽義賢 の娘の待宵姫 を勤めたことがありますが、葵御前 はその待宵姫 の継母で、姫様の母親に宮仕えをしていたものの、その死後に引き立てられ義賢 の奥方となった人です。

平家に攻められ落ち延びるも、義賢 の子供を身籠っている為に追われている身の上。

このお腹の中の子供こそ、歴史上有名な木曽義仲なのです!

家臣である折平 の妻 小万 の父九郎助 の家に匿われ、人目を忍ぶために質素な身なりです。

臨月ですが、お腹が膨らんでいませんのはお芝居の嘘と言うことでご容赦ください(笑)

九郎助夫婦や実盛 の機転で瀬尾 の詮議から逃れ、実盛 に対面する際にはきちんと御台様然とした身形に。

源氏の重宝である白旗を帯締めにしっかり挟んでいます。

小万 の死に悲しみにくれる九郎助 一家と共に嘆いている最中に陣痛に見舞われますが、無事に男子を出産いたします!

舞台上では打掛で赤ちゃんを抱いているので分かり難いとは思いますが、帯を解いてさらしを巻いているんですよ。

 

そんな葵御前 、初めて勤めさせて頂くにあたり、孝太郎の兄さんに教えて頂きました。

御台所としての品や格はもちろんですが、身重の体で不安な気持ちが募っていることや、九郎助 一家をこちらの騒動に巻き込んでしまった事に対して自責の念を感じていることなど、心の持ちようが何よりも大切であると教えてくださいました。

母になろうとしている身で太郎吉 にどんな眼差しを向けるのか、継母という立場で九郎助 が明かす小万 との血の繋がらない親子関係をどう聞くのか、亡き夫の形見とも言える白旗を命を賭して守ってくれた小万へどれだけ感謝をしているのか……

などなど、動きが少ないお役ですので、その気持ちの細かい部分を大切に日々を勤めて来ましたが、それをお役の上に乗せるということの難しさや大変さを実感する日々でもありました。

精一杯背伸びをしながら、仁左衛門のおじさまの実盛でこのお役を勤められ、間近で勉強させて頂けたことを心から感謝し、千穐楽の舞台を勤めたいと思います。

こちらは曾祖父が勤めたときのブロマイド。

いつものごとく、あやかりたいとの一念で化粧前に飾っておりました。

この太郎吉 、誰だか分かりますかー?

 

 

 

なんと!

大叔父 萬屋錦之介!!

まだまだ映画に行くことも、そこでスターになっていくことなど誰も予想だにしない本当に幼い頃の一枚です。

 

そんな大叔父のように、今月の太郎吉 ちゃんもきっとスターになっていくことでしょうね。

 

将来価値が出るだろうから、今日こそはこのブロマイドみたいに一緒に写真撮ってもらおうっと(笑)

飴で釣るのが効果的かもしれません(  ̄ー ̄)

 

 

米吉でした。

平成の春

◇インタビュー掲載情報◇

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コメント

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  • コメント (8)

    • りお
    • 2019年 4月 26日

    お写真上げてくださり、ありがとうございます。4月は良いお席から拝見しましたが、舞台からは遠かったし、葵御前のポジションも舞台の奥が多かったので、美しかったことは言うまでもありませんが、細かい感じがわかりませんでした。アップのお写真を拝見し、改めて、木曽義仲の母上はこのようなご様子だったのか、と、思いました。
    寒暖の差が激しい時期ですので、お身体大切に。5月も、GWに昼夜観劇を予定しているので、化粧坂少将と、道成寺の所化、両方とも楽しみにしています。

    • バタバタしておりお返事遅くなりました(・・;)

      中々客席からですと細かいところまでは分からないことがありますよね。
      我々もさせていただいたり、舞台の上でご一緒させていただきながら拝見したりする時に驚いたり感心したりすることがしょっちゅうあります。

      GWにご観劇くださったとのこと、ありがとうございます。
      素敵なGWになられましたか?

    • y
    • 2019年 4月 27日

    平成最後の舞台拝見しました
    米吉さんの葵御前若く美しかったです

    出産後、お芝居の終盤ノリ地で実盛が北國篠原の戦場で太郎吉に討たれる未来を語るとき、赤子を抱いた御台様がげにそのときはこのわこが、恩を思うて討たすまじ
    っていうお優しいお言葉をかけ、それに応じて実盛様が頭を下げるところでじーんときて泣けてきました(T_T)

    今回の実盛物語がものすごく充実しているのは松嶋屋さんが元々の当たり役を体力的にも最後かもというお気持ちでなさってるということも勿論ございますが大きな要素の一つが瀬尾の歌六さんですね!最初に草むらに引っ込んだときは自分にあんなことがおきて自ら命を犠牲にして娘のため孫に手柄をたたせようとすることになろうとは夢にも思っていなかったはずが話をきいてからの二度目の出からはその心中を思うと泣かされっぱなしでした!今まで拝見した中で最高の瀬尾です!歌六さん有難うございました!とお伝えくださいませ(^^)/

    来月は遠征できないのですが六月の梢を楽しみにしております(^^)

    • 平成に頂いていたコメントのお返事をを令和まで持ち越してすみません?

      平家物語の実盛が若作りをして討たれる話を下敷きにしておりますので、台詞の細かい所に平家物語に描かれているそれからの未来を感じさせる部分がありますよね。
      作者も考えた末でしょうが、それを見て納得したり感心したりしていた江戸の庶民の知識レベルにはいつも驚かされます。

      父へのお褒めのお言葉ありがとうございますm(_ _)m
      父も初役だったこともあり大変気を入れて勤めていたみたいです。
      やはりこの芝居の要は瀬尾ですから!

      また6月にお目にかかれますのを楽しみにしております!

    • Miwa
    • 2019年 4月 28日

    葵御前、拝見いたしました。
    御台所でありながら追われている身の上。
    品格を保ちながら追い詰められている心持ちなど、
    複雑な心情が同時に伝わってきて、本当に素晴らしかったです。
    頼もしいお姿を拝見できて、とても嬉しく思いました。
    個人的には仁左衛門さんと同じ空間におられることも大変喜ばしく、
    何重もの喜びをもって拝見しておりました。
    そしてもちろん! お父上の雄姿も堪能させていただきました。
    仁左衛門さん程の方の向こうを張っていただきたい、という申し出があるというのは
    お父様と米吉さんの芸の質の高さがしっかりと認識されているということの裏返しです。
    そのことがお二人を陰ながら応援させていただいている者として、
    とても喜ばしく感じられました。
    益々のご健勝・ご多幸をお祈りしております。

    • 遅くなりましたが、ご観劇ありがとうございましたm(_ _)m

      仁左衛門のおじさまの実盛で葵御前をさせていただけたこと、本当にありがたく、忘れられない得難い経験のひとつとなりました。
      これを活かせるように益々精進せねばなりませんね。

      今後とも親子共々ご贔屓頂きまして、益々のご声援のほどよろしくお願いいたします。

    • chie
    • 2019年 5月 03日

    初日おめでどうございます。
    ここ最近のぐずぐずした天気が回復して、良い天気ですね。
    葵御前、凛とした佇まい、母親として子を守る覚悟、太郎吉へ向ける愛情深い眼差しなどを感じながら、拝見していました。九郎助家族とは、複雑な間柄ですよね。ブログを読み、もう一度舞台を拝見し、このお役、お話自体の繊細さをより感じました。

    打ち掛けの下には、さらしを巻いているのですね。お子さまとのお写真ありがとうございます。抱いている姿もやはり様になってますね。

    時蔵さんのプロマイド、いつもながら素敵ですね。太郎吉、萬屋錦之助さんなのですね。いつか映画を観れたらと思っています。

    実盛物語、やっぱり泣いてしまいます。瀬尾の親心がせつなくて一番ぐっときてしまいます。昼の部でも久作の親心に泣いてしまい、昼も夜も歌六さんに泣かされっぱなしでした。
    太郎吉さんとは、お写真とれましたでしょうか。かわいらしい太郎吉さん、飴が好きなのもさらにかわいらしいですね。
    夜話でのお話を思い出しながら、あ、小川村だ!と観るのも楽しかったです。

    • 初日を開けて何やかやと今日までお返事の遅れましたこといつもながらお詫び申し上げますm(_ _)m

      葵御前を取り巻く複雑な背景は文字にするのは簡単ですし、理解もできますが、それをあからさまではなくどう表すかというのは大変に難しく、何とも言えない所ではありました。

      曾祖父のブロマイドに子役時代の大叔父が一緒に写っているものが結構多いんですよね。
      大叔父の芝居の頃の写真は珍しいですから貴重なものかもしれません。

      父も先月は昼夜とも初役で、大変なお役でしたが体も壊さず勤めてくれて何よりでした。
      どちらのお役もこれから何度も勤めてもらいたいものですね!

      太郎吉はなんだか渋々でしたが写真を撮ってくれました(笑)

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