Loading

米吉ブログ

百回忌追善

 


 

九月に入りましたがまだまだ暑い日々が続いておりますね……(^_^;)

毎年恒例となっております秀山祭も一昨日初日を迎えることができました。

前々からお話ししてありますが、本年は私の高祖父(祖父の祖父)、三世 歌六の没後百年という大変大きな節目に当たりまして、今月は当代の歌六である父が高祖父の得意としたお役を昼夜で勤めさせていただく追善狂言を上演させていただいております。

初代 吉右衛門三代目 時蔵十七代目 勘三郎の三人の名優の父であり、私を含め、多くの歌舞伎俳優にその血が流れている、現在の歌舞伎界を形成するのになくてはならなかったと言っても過言ではないのがこの高祖父なんです。

そんな血縁のある皆さんにお声かけをして百回忌の法要をさせていただいたのが六月の終わり。

あっというに九月になり、追善本番となりました。歌舞伎座の大間にはこのような祭壇を設けていただいております。

ご観劇の際には是非とも高祖父をお偲び頂ければ幸いです。

また、今月は楽屋の床の間に高祖父が『夏祭』の 釣船三婦 を勤めた時に着ていたと言う浴衣を掛け、高祖父を偲んでおります。

首抜きになっているのは我が家の替え紋の蔓方喰、裾回りには定紋の揚羽蝶に歌六の 歌 の字をあしらった、派手好きだったと言う高祖父らしい、大変に派手なもの。

藍の色がとても濃くて、派手なのに野暮でなく素敵な浴衣ですよね。

こんなきれいな形で我が家にこんなものが残っていたとは驚きでした……

この浴衣を着て三婦 を勤めている高祖父の写真を竹本葵太夫お師匠さんがTwitterにあげてらっしゃいましたので、こちらを是非ご覧ください!

相当裄丈が短く、袖なんかまるで子供の物みたいですが、この背丈の人だったんだなと、会ったことの無い高祖父の姿を偲ぶには最適な設えになりました。

何せ百年も前に亡くなった人ですから、写真も殆ど家には残っていないんですよね……

そんな貴重な写真がこちら。いつもは曾祖父 三世 時蔵の写真を飾る化粧前に、高祖父が『沼津』の平作 を勤めた際のブロマイドを飾り、お線香を手向けております。

初代吉右衛門と実の親子で勤めた伝説的ともいえる平作です。

写真からも平作の気の良いお爺さんぶりが伝わって来るような気がしますよね。

 

 

そんな百回忌追善というのは、歌舞伎の歴史の上でも大変に珍しく、させていただけて本当にありがたい限り……

こうして、少しでも高祖父を身近に感じながら日々を勤め、させて頂くからには彼岸の高祖父に喜んでもらえるような追善になれば良いなと思っております。

皆様におかれましては何卒ふるって歌舞伎座へお運びくださいますよう心よりお願い申し上げますm(_ _)m

 

 

 

米吉でした

◇インタビュー掲載情報◇

松浦の太鼓

関連記事

  1. 久々の‼

    2014.10.04
  2. 5年の年月

    2016.02.25
  3. 女将さん

    2018.08.18
  4. 菊野ちゃん

    2018.08.24
  5. 至高の華

    2013.08.09
  6. 斎世親王

    2020.02.25

コメント

  • トラックバックは利用できません。

  • コメント (6)

    • y
    • 2019年 9月 03日

    初日に夜の部を拝見いたしました(^^)

    貴重な三代目歌六さんの浴衣のお写真を有難うございます!素敵ですね~釣船の三婦…格好いい浪花の老侠客だったことででょうね(^^)

    お父様初役の松浦候、とっても素敵でした!短気なところもあるけれども愛嬌があって…それにしても側室多すぎ~f(^_^)でしたが…

    そしてお縫ちゃんの可憐なこと(^^)前回も拝見しましたがさすがに二度目とあってお茶のお手前も馴れた手付きに見えました(^^)
    お庭での凛凛しい姿も素敵でした!

    三代目歌六さん百回忌追善公演、千穐楽まで盛況でありますようにとお祈りいたします!

    • お返事遅くなりましてすみませんm(_ _)m
      早速に初日のご観劇ありがとうございます!

      元来上方の役者ですから、三婦なんてコテコテで素晴らしかったことでしょうね(^ー^)

      松浦侯は殿様らしいといえば殿様らしい殿様ですよね(笑)
      側室というより、お世話係みたいなニュアンスなのかもしれませんね( ̄~ ̄;)

      松浦の太鼓も初日から徐々に落ち着いてきましたので、是非ともまたいらしてください!

      久々のお手前でしたので思い出すのに苦労しましたし、また改めてお稽古してもらいました(–;)
      付け焼き刃ではダメですね……

      千穐楽まで残り半分、まだまだよろしくお願いいたします!

    • chie
    • 2019年 9月 09日

    凄まじい台風でしたね。朝、起きたら大変な状況でしたが、歌舞伎座がつつがなく開演されたようで、良かったです。
    三世中村歌六さんの百回忌追善公演おめでとうございます。そして、蝶八郎さんの名題昇進おめでとうございます。

    飾ってある浴衣、とても素敵ですね。三世歌六さんが着ているお写真は、粋でかっこいいですね。観れることないのですが、演じているのを観たくなってしまいます。
    いつも楽しみにしている秀山祭ですが、今年は、また一段と楽しみでした。

    沼津の歌六さんの平作、やっぱり見入ってしまいました。ひょうきんで人情味がありとても魅力的で、幕切れでは、かっこよくて、観終わった後は、余韻に浸っていました。

    松浦の太鼓では、いけずな松浦侯もおかしみがあり、とてもユーモラスなお話でとても楽しめました。お縫いちゃんってこんなにいじめられてるものなのですね。沼津も松浦の太鼓も人情味のあるお話でとても好きだなあと思いました。どちらも出てくる人物が本当に魅力的ですね。

    まだ、拝見できる機会があるので、とても楽しみにしております。季節の変わり目ですので、お体には、お気をつけくださいね。

    • 台風は大変な被害をもたらしましたね……
      被害に合われた方の生活が少しでも早く日常に戻ることを祈りばかりです。

      お陰さまで追善の興行も中日の折り返しとなりました。

      髙祖父の三婦は写真からも関西の気骨ある老人の雰囲気が伝わってきますよね。
      見てみたくなるお気持ち、本当に良くわかります!

      沼津も松浦の太鼓も髙祖父が得意とし、今日まで伝わってきたお役です。
      どちらのお役も髙祖父本人の人柄が滲み出ていたのかもしれません。

      そんな二つの役での追善で、少しでも髙祖父の雰囲気を皆さんに感じていただくことができたら一番の追善になることではないかなと感じています。

      千穐楽まで残り半分。
      ますますよろしくお願いいたします!

    • りお
    • 2019年 9月 09日

    秀山祭、観てまいりました。

    沼津、初めて拝見しました。前半のユーモラスな場面も面白かったし、終盤の吉右衛門さんと歌六さんの場面は、親子の情愛が感じられました。

    松浦の太鼓は、数回拝見していますが、歌六さんの松浦の殿様は、その 我儘加減も憎めず、見ていてほんわかした気持ちになりました。幕間に米吉さんのお縫いは、「絶邸、可愛いわよ。」との声が後ろの席から聞こえ、まさにその通りでした。花道のすぐわきの席だったので、すぐそばに其角とお縫いが来てドキドキしました。
    お二方とも、昼夜の舞台は大変かと思いますが、身体に気を付けて頑張ってください。

    • ご観劇ありがとうございますm(_ _)m

      初めての沼津、お楽しみいただけてよかったです。
      僕も大変好きな芝居で、前半後半の展開の巧みさは言うに及ばず、最後の親子の名乗りは本当に見るたびに感動して涙を流してしまいます。

      父の初役の松浦の太鼓もお楽しみいただけて何よりです。
      重たい作品の二つの後ですから、気楽に肩の力を抜いてご覧いただけるかと思います。

      千穐楽まで残り半分、少しでも先祖孝行になるように勤めていきたいと思います!

人気の投稿

PAGE TOP