Loading

米吉ブログ

一周忌追善


今月の歌舞伎座は吉右衛門のおじさんの一周忌追善興行。
一日中、縁の深い演目だけを並べての追善興行は近年では珍しく大掛かりなもので、おじさんの偉大さと失ったものの大きさを改めて強く感じています。

 

3年ぶりに開催されている今月の秀山祭
その秀山祭がおじさんの追善興行になるとは全く思いもよらないことでした。

 

そんな追善の秀山祭、第一部、第二部、第三部と、全ての部に出演させていただいております。

ただでさえ多い親類縁者がほぼ勢揃いしている中、各部に出演できていることは本当にありがたくもあり、播磨屋の人間として意義のあるものにしなくてはならないと感じています。

久々に一日中歌舞伎座におり、なんだか懐かしい気持ちになっておりますが、コロナ前はこれが当たり前だったんですから、感傷的になってる場合ではありませんよね(笑)

 

順を追って見てまいりましょう!

まず第一部では吉右衛門のおじさんが松貫四のお名前で構成・演出なさった『白鷺城異聞』にて腰元 名月 を勤めさせていただいています。

姫路市の市政120周年を記念し、宮本武蔵が姫路城の怪異を退治した伝説を下敷きに、姫路城を見上げる野外舞台での公演のために平和への願いを託し、書かれたのがこの作品。

吉右衛門のおじさんが勤められた宮本武蔵 を父が勤め、播磨屋萬屋小川家 中村屋波野家 の揃った、どこを見ても親戚という法事のような一幕。

普段一同に会することのない親族がこれほど揃うのも追善ならではと言えるのではないでしょうか。

第二部では秀山十種の一つ『松浦の太鼓』でお縫 を勤めさせていただいております。
歌舞伎座で初めて勤めさせていただいた大役がこのお縫 
かれこれ4度目になるこのお役には、吉右衛門のおじさんとの思い出がたくさん詰まっています。
ほぼ全て叱られた思い出なんですけどね(~_~;)

一つご紹介するとすれば、出てくるときに「出てきました!」と出ててはいけない、叱られないよう、目立たないようにひっそりと慎ましく出てこなくてはならない。
これは二度目に勤めた際に仰って頂いたことです。

それ以来なるだけひっそりと出るよう心がけていて、そういう意味で、この役のときだけは出てくるときの拍手がなくても嬉しかったりするんです(笑)

今回はおじさんのお兄様である白鸚のおじさまが追善のために初役で勤められ、劇中口上にておじさんを偲ばれています。

その口上に血縁や昔からの縁の深い方々と共に並ばせていただけることは一門の人間として本当にありがたい限りです。

播磨屋にとって家の芸であるこの狂言、これからもおじさんのお言葉を胸に大切に勤め続けたいと思っています。

一日の締めくくりの第三部ではこちらも松貫四の筆名で監修なさった『藤戸』にて、間狂言の浜の女 おしほ を勤めさせていただいています。
おじさんの作られたお芝居の中でも上演回数の多い今作を娘婿でいらっしゃる菊之助のお兄さんが勤められています。間狂言では私よりもずっとおじさんの側近くで多くのことを学んできた従兄弟の種之助と、おじさんが心の底から愛されてきたお孫さんの丑之助くんとご一緒です。
一日の最後に縁の深い二人と舞台を勤められるのは本当に嬉しく、感慨深いものがありますね。

以上三役、この秀山祭の無かった3年間、どう過ごしてきたのか問われる様な役々だなと感じています。
千穐楽まであと少し、神妙に心を込めて勤めてまいりたいと思います。

 

さて、吉右衛門のおじさんは昨年3月に倒れられ、8ヶ月間も病と戦われ、11月28日泉下の人となられました。

葬儀にも出席し、お骨上げまでさせていただいて、最後のお別れを済ませたものの、今日までの実感の湧かない日々でした。
初日を前にロビーに飾られた祭壇に手を合わせながらも実感が湧かずにいましたが、一日中楽屋の中で過ごす慌ただしい毎日の中で「もうお目にかかれないのか。拝見できないんだ。本当におじさんはもういらっしゃらないんだ……」と、実感としてしみじみと心に沁み込んできているような感じがしています。

「自分が死ぬときに、播磨屋は安心だなと思わせてくれ」
ある時、吉右衛門のおじさんから言われた言葉です。

もっとしっかりしろと、叱咤激励のお言葉をたくさんかけられてきたこの十年。
まだまだ不甲斐なく、このお言葉の通りご安心での旅立ちではなかったと思います。

どうにかおじさんに顔向けのできるよう、お叱りを受けないよう、父や叔父に従兄弟達、吉之丞さんはじめ一門の皆さんと、播磨屋の家を盛りたて、守り続けなくてはなりません。
あ、今月から加わった小さな二人も忘れてはなりませんね(^^)

まだまだ思うことは山ほどありますが、それを書き連ねることは今は止そうと思います。

 

「分け登る麓の道は多けれど、同じ高嶺の月を見るかな」
とは一休さんが残されたという、私の好きな言葉です。

我々もこの言葉の通り、それぞれの道を進みながらも、高嶺の月である吉右衛門のおじさまを寄る辺として、深く大きなその輝きを目指すことでしょう。

これから山あり谷あり、様々なことがあるとは思いますが、照らしてくださっているであろうその道筋を踏みしめながら、直向きに歩んでまいりたいと思います。

 

最後に甚だ生意気ではございますが、一門の端くれの人間として、本追善興行をお支えくださっている皆様に心から御礼申し上げたいと思います。

本当に本当にありがとうございます。

これからも播磨屋、そして秀山祭を何卒よろしくお願いいたします。

 

 

 

 

米吉

◆インタビュー掲載情報◆

◇雑誌掲載情報◇

関連記事

  1. けんけん。

    2016.06.23
  2. 忠臣蔵グッズ

    2013.11.09
  3. 姫二号

    2017.01.23
  4. 小さな友達

    2017.01.28
  5. 第38回 俳優祭

    2017.03.29
  6. 撮れたてほやほや

    2016.07.26
PAGE TOP