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米吉ブログ

盛綱陣屋

 


金木犀の香りを感じるようになり、秋になったなぁと嬉しくなっている今日この頃です。

出演者のコロナウイルス陽性判定を受け、2日からの公演を中止しておりました歌舞伎座第二部。
7日から代役を立てて公演を再開し、去る16日から本配役での上演がかないました。

全員揃って上演することができて本当に嬉しく思っております(^_^)

 

そんな歌舞伎座第二部の『盛綱陣屋』において盛綱の妻 早瀬 を勤めさせて頂いております。陣屋の主である佐々木盛綱の妻です。

綸子の着付には金糸で四つ目 といわれる佐々木家の家紋が縫い付けてあります。ワッフルではありませんよ(笑)

引眉にお歯黒、片はずし の鬘という武家の女房の典型的な拵えです。

時代物の大作で、片はずし の役柄をさせて頂くことは本当にありがたく、身の引き締まる気持ちです。打掛も織物ですし、同じ片はずしでも5月の『鏡獅子』とは大分雰囲気が違います。今月相嫁の篝火 をお勤めの雀右衛門のおじさまに教えて頂きました。

この早瀬 、弟嫁の篝火 からの矢文を射返したり、長刀で篝火 を制したりと武芸にも通じた奥方です。こうした道具も普段なかなか使うことがありませんし、扱い方にも気を使います。

この芝居は、大阪の陣の真田兄弟が敵味方に別れて戦った史実をモデルとした作品。

史実の真田信之佐々木盛綱 に置き換えられているのですが、史実の信之の妻も武芸に通じた女性だったそうです。
僕の好きなコーエーの戦国時代のゲームにもよく登場してきます(笑)

そこまで調べて当て込んでる訳ではないと思いますが、面白いですよね。

 

また、今月は父と、まさかの一年ぶりの同じ舞台。

しかも珍しく女同士、嫁と姑という立場です。

父が勤めているのは三婆の一つである盛綱の母微妙。

この役は曽祖父 三世時蔵も勤めていて、立役から出ることもあるお役でもあることから、父としても勤めてみたかったお役の一つだそうです。

 

曽祖父が初代吉右衛門のおじさまの盛綱 微妙 を勤めた記録映画が残っていますが、その時の小四郎 は当代の吉右衛門のおじさま。

今月の『盛綱陣屋』は、その時の盛綱 微妙 小四郎 の直系に当たる幸四郎兄さん、父 歌六丑之助くんが、それぞれ同じ役を勤めていて、歌舞伎の凄さを実感しています。

そして、例年九月は初代吉右衛門を顕彰する、私達にとって大切な秀山祭

今年も銘打つことはできませんでしたが、播磨屋に縁の深い出演者を揃え、大切な演目である『盛綱陣屋 』を上演するということで、自ずとお客様に伝わっているものがあるかと思います。

早瀬 のような片はずしのお役は、自分にはまだまだと思っていましたが、今回ありがたく、大切な機会を得ました。

このお役は三枚目の伊吹藤太  の注進を一人で受け、その際には女方には珍しく高合引に座ります。
それだけ貫目や格式の必要な、重たいお役であると伺ってきたお役です。

しっかりと学び、身に着け、この大切な顔合わせの中での『盛綱陣屋 』で自分に課せられた役割をきっちりと勤め上げたいと思っています。

 

米吉でした。

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コメント

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  • コメント (10)

    • y
    • 2021年 9月 21日

    代役中と本役さんになってからと二度拝見いたしました(^.^)キリっとした武家女房の米吉さん素敵でした♪
    ノリ地の台詞で京屋さんと渡り合うとこなんてワクワクしちゃいましたわ!

    亀三郎さんの小三郎も丑之助さんの小四郎も可愛いいし歌六さんの微妙も素敵で見応えありました!また楽に拝見いたします♪

    • 2度ご覧頂き、ありがとうございます。
      休演となった二人は本当に悔しい思いをしていたのではないかと勝手ながら感じています。

      もしかしたら、お客様は二通り見れたとお喜びの方もいらっしゃるかもしれません。

      また明日もご覧いただけるとのこと、ありがとうございます。
      お待ちしております!

    • 菜摘
    • 2021年 9月 21日

    なかなか心も休まらない状況の中で、日々のお稽古やご公演、お疲れ様でございます。

    やっと就職が決まりひと段落ついた折、ふと思い立って席を取った人生初歌舞伎が、先日の盛綱陣屋でした。激動の時代の中、家族に通ずる純粋な絆に思わず涙してしまいました。

    そしてそして、米吉さんのお勤めになる早瀬の、柔らかく上品な中に芯の強さを感じさせるお姿に思わず目を奪われてしまいましたのが、私の人生初歌舞伎の思い出として一生残るものとなりました…。
    一発で当てられた弓矢の技術、米吉様はアッコちゃんも驚きの凄腕魔法使いでしょうか?(笑)

    歌舞伎でも音楽でも、文化というものは今までもこれからも人の心の拠り所です。時が早く進むような現代、昨今の人との距離を遠ざける状況ではなおさら、このような舞台にお立ちになる方々には感謝の気持ちでいっぱいです。心の安らぎを、ありがとうございます。

    またご公演楽しみにしております。これからも、お身体第一に、ご自愛くださいませ。

    • まずは就職内定おめでとうございます。
      このような時期で制約のある中ですから、さぞ大変だったのではないかと拝察いたします。

      そして、初歌舞伎もありがとうございます!
      お楽しみいただけたようで出演物の一人としてこんなに嬉しいことはありません。

      文化芸術は不要不急かもしれませんが、人の心の栄養になると信じて日々の舞台を勤めております。
      また是非劇場へ足をお運びくださいね。
      劇場で再びお目にかかれますのを楽しみにしております。

    • たけちゃん
    • 2021年 9月 26日

    暑さ寒さも彼岸までと申しますが、今年の暑さもどうやら峠を越えたように感じます。
    コロナ禍の中、全員揃っての上演、先日、九月大歌舞伎を鑑賞でき、大変嬉しく思っております。
    歴史ものの演目は、前後の時代背景を、しっかり把握していないとついていけないからと敬遠しがちでした。
    しかし、歌舞伎を鑑賞するにつれて、どういう時代背景なのかを把握しておけば、話についていく事ができると分かり、以前ほどは、敬遠しなくなりました(笑)
    早瀬 は、同じ片はずしでも、五月の『鏡獅子』とは大分雰囲気が違いますね。
    これまで拝見した米吉さんのお役と違い、声をきつめにした立振る舞いに、最初は少し驚きましたが。
    長刀さばきがなかなかの、武芸にも通じ、品があり、貫禄や格式のあるお役に、見入ってしまいました。
    どうか無事に千穐楽を迎えられます様に。
    時節柄、お身体ご自愛下さいませ。
    P.S.ワクチン接種、二回目の時、一回目よりも副反応がひどいという噂に、戦々恐々としておりましたが、私は、ほとんど副反応がなく、拍子抜けでした。
    副反応に備え、準備をしておいた方が良いと思います。
    でも、噂には、惑わされない事だと思いました。

    • お返事遅くなり、申し訳ありません。
      お陰様で9月の歌舞伎座、無事に千穐楽を迎えられました。
      ご観劇ありがとうございました。
      こうした大時代の作品こそ、歌舞伎芝居の面白さの詰まったものであると思っておりますので、お楽しみいただけたのでしたら嬉しいです。
      前後関係や芝居の大まかなあらすじなどを頭に入れていただくと、少しは親しみやすくなるかと思います。

      やはり、舞踊作品の『鏡獅子』と義太夫狂言である『盛綱陣屋』では片はずしは同じでも、格や役の雰囲気は格段に変わって参ります。
      それだけのお役、自分自身も至らなさを痛感しながらの日々でした。

      私も二度目の摂取はさほど副反応はひどくありませんでしたが、何だか一日中だるく、肩こりがひどく感じました(^_^;)

    • りお
    • 2021年 9月 27日

    9月最後の土曜日、「守綱陣屋」を拝見することができました。
    武家の女房姿の早瀬:米吉さんのきりっとして凛々しい姿に、見とれました。
    守綱:幸四郎さんの顔(目)の演技と、早瀬:米吉さん、微妙:歌六さんに囲まれた 小四郎:丑之助君の陰りのある表情に、気づいたら涙が止まらず、守綱の世界にどっぷりつかっていました。
    幕が閉まると、まるで魔法が溶けたような気持になり、満足感でいっぱいでした。
    木挽町広場からのエスカレーターわきに貼ってあった、米吉さんと莟玉さんのクロワッサンのポスター、写真で撮って友人に送りました。
    来月は我慢し、また11月の「花競忠臣顔見勢」を拝見できるのを楽しみにしています。
    お体ご自愛下さい。

    • お返事が遅くなりまして、本当にすみません。
      9月のご観劇ありがとうございました。

      9月の舞台を思い返しますと、歌舞伎座であの座組で『盛綱陣屋』の早瀬を勤められたこと、私にとっても本当に夢のようなことだなと感じております。

      今月もまた趣の変わった面白さのあるお芝居ですので、お時間が許すようでしたらご覧いただけましたら幸いです。
      また劇場でお目にかかりますのを楽しみにしております!

    • chie
    • 2021年 9月 27日

    少しずつ夏の終わりから、秋のはじまりを感じられるようになり、過ごしやすい季節になりましたね。
    今年も秀山祭の名がないのがやはり寂しく、でも、盛綱陣屋の皆様の顔ぶれをみると、うれしく、拝見するのを楽しみにしていました。初日が延期になり、観る機会が減ってしまったのは、残念でしたが、観劇出来て本当に良かったです。

     毎年、どんなお役を拝見出来るのだろうと楽しみにしてますが、早瀬を演じられるのを観られるとは思いませんでした。先月のかわいらしいお役から、今月は、きりっとしたお役でこういうお役を観られることがとてもうれしかったです。
     いろいろなお役の気持ちが伝わってきて、やっぱり泣けてしまいました。一人一人の気持ちが苦しくせつなく、でも、愛情のあるお話であたたかくもありました。先祖代々、役を受け継いでいくのも素敵ですね。

    インスタライブありがとうございました。
    今月のお役のお話や、来月、再来月のお役のお話を聞けて、もっと観劇するのが楽しみになりました。まだ、おまきのお役は、拝見したことがないので、どんなお役だろうとわくわくしてます。
     
     

    • お返事遅くなり失礼いたしております。
      例年通り秀山祭と銘打っての興行とはなりませんでしたが、縁の深い座組で、縁の深い『盛綱陣屋』を上演できましたこと、本当に嬉しく、その一員に入れていただけたことに感謝の気持でいっぱいです。

      まだまだ自分には分不相応なお役かもしれませんが、この経験を糧に更に進んで参りたいと思っております。
      今月のおまきはまた大分趣の変わったお役となります。
      お楽しみいただければ幸いです。

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